プロフィール
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恨
性別:
女性
趣味:
二次元/植物/猫
自己紹介:
随意。
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PAGE | 40 39 38 37 36 35 34 33 32 31 30 | ADMIN | WRITE 2010.08.12 Thu 00:11:37 (S.Y.K)出会い胸闷!胸闷呐——!让人胸闷的500年前。让人胸闷的阎魔王和金蝉子。
------------------------------------------------------------ 「・・・・・・いい風、ですね」 人気のない森の奥にある、これまた人気のない遺跡。 そこは以前地上界に降りて来た時に偶然見つけた、お気に入りの場所だった。 きらめく木漏れ日が美しい。 静寂な森と一体化している朽ちた遺跡は、どこか神秘的な雰囲気をかもしだしている。 風にそよぐ、葉ずれの音。 暖かい、日差し。 ——同じこの地上で凄惨な戦いが日夜繰り返されているなどとは、とても思えない光景。 「・・・・・・ふう・・・・・・」 地上は、確実に蝕まれていた。 他でもない、天界と冥界の争いに巻き込まれで。 この美しい場所もいつかは炎に焼かれ、見るも無惨な廃墟となる。 天界と冥界、どちらが正しいなどとはもはや言うことすら出来ないというのに、戦が終わる素振りもない。 そして——私には、何も出来ないのだ。 一介の仙である私には、戦いを止める力などないのだから。 この美しい地上界の世界を壊すことなど、誰にも許されない。 地上の人間たちが壊すというのなら、まだ納得もいく。 だが、今この世界を傷つけているのは天界と冥界の者たち。 彼ら——否、私たちにそのようなことをする権利など、どこにもないとうのに。 「・・・・・・言うだけなら、誰でも出来ますね」 そう。 実際には何も出来ないから、私はここにいる。 未だ被害の及んでいないこのばしょで、現実から目を背ける。 「現実逃避・・・・・・ですか」 わかってはいても、わたしはたびたびここへと足を運んでいた。 この、美しい場所を。 せめて守りたいと思うのも,事実で。 私以外、誰もいない。 静寂に満ちた、不思議な場所。 ーーの、はずだったのに。 「え.・・・・・・?」 「・・・なんだ。 ひとり占め出来るかと思っていたが、他に知っている者がいたのか」 今日、その私の特等席には、知らない人が、いた。 黒い髪、赤い瞳。 一瞬、空気の色が変わったのかと錯覚を起こしそうなほどの、強い気を放つ人。 「あなた、は・・・・・・?」 「ここは静かで、気に入っていたのだがな」 そんな目の前の人が手にしていたのは、分厚い書物。 彼は遺跡の壁に背を預け。読書にふけっていたらしい。 ーー気持ちわかる。 ここは、ほっと息をつける場所だから。 「突っ立っていないで、座ったらどうだ。 お前もここへ、休息を求めてきたんだろう?」 「・・・・・・はい」 穏やかに、風が流れる。 木漏れ日の下で。 ——それが、私とその人と出会いだった。 PR |